キーワード:YG性格検査 YGプロフィール パソコン表示システム
ユーザフレンドリィ F-BASIC386

1.はじめに
本学には、過去30年間で約3600名の本学学生に対して実施してきた
YG性格検査のデータが、検査用紙として保存されている。この多量
のデータをパソコンネットワークを介して、「個別データ、平均、比
較」などの利用が可能なように、また本学で行われている心理学の研
究を支援するために本システムを作成した。

2.YGプロフィール表示システムの概要
本システムの設計方針として次のことを考慮した。
(1)特別な知識を要しない計算機の利用
(2)視覚的な結果の表示
(3)複数者間のデータの平均,比較の表示
システムの全体像を図1に示す。
YGプロフィール表示画面を図2に示す。
  本システムには、(1)表示システムの利用説明、(2)年度・学科
平均と性格特徴説明、(3)個人プロフィールと性格特徴説明、(4)
YG性格検査の性格類型判定、(5)YG性格検査の説明の5つの機
能を用意した。

3.YGプロフィール表示システムの実現
本システムの構築は、昨年度に引き続いた研究である。本年3月ま
では、システム全体像の設計、特定プロフィールのグラフ表示と性格類
型判定、という進行状況であった。今年は次の機能を改良し、システム
を完成した。
(1)年度更新を考慮した年度選択
(2)年度別平均のグラフ表示
(3)個人プロフィールのグラフ表示
(4)プロフィール画面の印刷
(5)音声によるシステム説明
システムの実現にはF-BASIC386プログラミング言語を使用した。

4.応用と検討課題
YGプロフィール表示システムの応用例として、過去30年間のY
G性格検査の各要素における年度別平均の推移と時代背景の関係に
ついて解析した。時代背景を、テレビの影響の強さによって、生れ
た年が昭和30〜35年(検査実施が昭和50〜55年)を過渡期、それ以
前を活字文化期、それ以降を映像文化期、の3つの時代にわけて考
察した。12の各要素の中には、はっきりとその推移が読み取れるも
のがあり、限られたデータから得られた結果ではあるが、映像文化
が人格形成に及ぼす影響が明らかになった。なお本システムには、
新データ追加への対応、個人情報の機密保護、の検討課題が残され
ている。

5.おわりに
性格検査を計算機で行う場合、計算機がどこまで介入し、人間が
どの部分に専念するか、という計算機と人間の共存が重要となる。
ユーザフレンドリィな計算機利用による簡単・迅速で、しかも、過
去のデータとの統計的な比較が行えるような性格検査法は、今後、
さらに、必要になってくると考えられる。

        謝 辞
本研究においてご助言ご指導下さった高橋正臣教授に深く感謝いたします。

参考文献
[1] 佐藤厚美:YGプロフィール表示システムと方言,敬語の使用意識
本学科卒業研究論文集(1994.3).
[2] 高橋正臣:人格形成を規定する要因分析(IV),大分県立芸術短
期大学研究紀要(1981).
           [3] 釘宮千絵美 他:YGプロフィール表示システムの作成,平成6年度情報処理学会 九州支部若手の会(1994.8).