第6章 考 察
� アンケートの結果から、電子貨幣に対する期待の大きさと同じだけ不安も抱えていることが分かった。現在の電子貨幣に、我々は現金のように経済的価値を見いだすことは容易にできない状況である。電子貨幣に経済的価値を持たせるという問題では、現金の「希少性」を参考にすることが望ましい。現金は紙幣・硬貨とも発行機関側が必要な量しか供給しない他、紙幣は偽造が困難なように特殊な印刷技術を用いて「これは本物だ」という証明の手段として確立させている。電子貨幣もこれらを見習い、発行量のコントロールに気を配り、不正使用を防ぐためにセキュリティの課題も解決していかなければならない[4]。
� 発行機関については、今の段階では各企業・銀行で開発を進めて競争をする形をとった方が、今後の電子貨幣の発展につながると考えられる。そして、将来的には、例えば、日本銀行のように人々の信頼を集めている機関が発行することが望ましい。